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2023.12.18

食用馬はどこで生まれる?馬刺しの特徴や種類も解説!

馬刺しなどで楽しめる馬肉は、良質な脂がのっていながらもあっさりした味わいが病みつきになる肉のひとつです。特別な記念日に、とびきりの馬肉料理を味わおうと考えている方もいるかもしれません。

今回は、美味しい馬刺しの特徴や味わい方、食用馬の種類、馬肉の歴史について解説します。一体どんな馬がわたしたちのもとに届いているのか、気になる方はぜひチェックしてみてください。

食用馬はどこで生まれる?

わたしたちが日ごろ口にしている馬肉は、一体どこから届いているのかご存知でしょうか。国内の馬肉生産量1位を誇るのは熊本県ですが、おもに生産された地域で消費されています。そのため、近年の市場に流通している馬肉は海外から輸入されたものがほとんどです。

また、輸入される馬肉は生体輸入と枝肉輸入に分けられ、それぞれ輸入方法や馬肉の鮮度が異なります。

ここでは、生体輸入と枝肉輸入の違いについて詳しく解説します。

馬の生体輸入とは?

馬の生体輸入とは、生産国から生きた状態のまま馬を輸入する方法です。生体輸入は馬肉の鮮度を落とさずに輸入できることが特徴のひとつですが、日本国内でしばらくのあいだ馬を肥育する必要があるため、輸入後の肥育環境によって品質が左右されてしまいます。

馬肉の枝肉輸入とは?

馬肉の枝肉輸入とは、生産国で屠殺した馬を裁断し冷凍された状態で輸入する方法です。一度に希望する部位を大量に輸入できるため、安定した供給につなげられます。しかし、生産国で屠殺した馬が空輸で日本へ届くため、どうしても鮮度が落ちてしまう点が懸念される方法でもあります。

馬刺しとは

馬肉料理といえば「馬刺し」を最初に思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?馬刺しは食用の馬肉を刺身として薄く切り落とし、生で食べる日本料理をさします。トロや霜降り、赤身、タテガミ刺し、レバ刺しなどが馬刺しとして人気の部位です。

ここでは、馬刺しの歴史や由来、美味しい食べ方や味わうときの注意点を紹介します。ここで紹介する一般的な味わい方のほかにも、好みにあわせてアレンジしてみてください。

歴史や由来

馬刺しの発祥は諸説ありますが、熊本藩の初代藩主・加藤清正が朝鮮出兵した時代まで遡ります。当時の朝鮮半島は食料がなかったために仕方なく軍馬を食べたところ、思いのほか美味しく日本へ帰国後も馬肉を好んで食べたことがはじまりだといわれています。

江戸時代には肉を食べる文化がほとんどありませんでしたが、明治時代に入り軍馬の産地であった阿蘇地域で戦後の食糧難で馬肉を食べ始めたことがきっかけで、全国へ広まりました。昭和30年代には飲食店でも扱うようになり、少しずつ一般家庭でも食べられるようになったといわれています。

飲食方法

馬刺しはロースなどの霜降りやもも肉、赤身のほか、タン刺し、ランプなど、部位によって味わいが異なります。一般的には、スライスたまねぎやおろししょうが、おろしにんにく、小口切りのねぎなどの薬味を添えて、甘口しょう油をつけていただきます。

また、馬刺しを細かく包丁でたたき、納豆とうずらの卵を乗せ、甘めのしょう油でいただく「桜納豆」は日本酒や焼酎のおつまみにぴったり。納豆を追加せずにいただく「馬刺しユッケ風」も、定番のおつまみメニューとして人気です。

馬肉は酸化しやすく、時間が経つと少しずつ黒ずむことや食中毒の観点から、冷凍で流通していることがあります。生のまま自宅で味わうときは、食べる直前まで塊のまま冷やしておきましょう。

最初からカットされた状態の馬肉をいただくときは、衛生管理をきちんとおこなっている販売元を選ぶことも、美味しく味わうためのポイントです。カット技術に長けている職人がさばく馬肉は鮮度を維持しやすいだけでなく、お皿に盛ったときの見栄えもきれいです。

馬刺しになる馬と種類

馬刺しになる食用の馬は、どんな馬なのかご存知でしょうか?なかには「馬刺しって国産の肉なの?」「競走馬が引退したら食用になると噂で聞いたけれど……」と、疑問に思っている方もいるかもしれません。

ここでは、馬刺しになる馬とそれぞれの種類について解説します。馬の種類を知っておくと、よりいっそう馬肉料理を美味しく味わえるようになります。

馬刺しになる馬は?

馬刺しになる馬はきちんと管理された場所で食用に飼育され、各地のセリ場でランク付けされたものが市場へ流通しています。よく噂で耳にする「競走馬や乗用場が引退したり死んでしまったりした馬の肉が食用として流通している」というのは、実際のデータはなく根拠のある話ではありません。

食用の馬は大きく800kg~1tまで肥育される重種馬(じゅうしゅば)と、600kg前後と競走馬ほどの大きさの軽種馬(けいしゅば)に分けられます。種類は産地によって異なり、馬刺しにしたときの見た目や味わいが異なります。

国内で馬肉の生産量が多い熊本県ではおもに重種馬を飼育し、馬刺しにするとサシ(霜降り)が多く口の温度でサッと溶ける脂が特徴の種類です。

次に馬肉生産量が多い福島県(会津)では、おもに重種馬の半分ほどの体重である軽種馬を飼育しています。赤身ながらも柔らかいことが特徴で、あっさりとした味わいの馬刺しを楽しめます。どちらの馬肉もそれぞれに特徴があるため、食べ比べてみて好みの馬肉を選んでみてはいかがでしょうか。

馬の種類について

日本にいる馬は、その利用目的にあわせて在来馬、乗用馬、競走馬、農用馬の4種類に分けられます。

在来馬は古くから日本にいた馬のことで、洋種馬などの外来馬とほとんど交雑することなく残ってきた日本固有の馬をさします。現在は8種類の在来馬が存在し、天然記念物や指定文化財に登録されるなど、世界で唯一のかけがえのない遺伝資源および文化資産といえるでしょう。

乗用場は乗馬クラブなどで人を乗せて走る馬や、人のストレスを癒すホースセラピーで活躍する馬などをさします。人懐っこく忍耐力の強い馬が選ばれやすく、人の指示をよく理解して走るスピードを調整したり停まったりすることが得意です。

競走馬は競馬場でレースに勝てるよう訓練を受けた馬のことで、金賞がかかったレースで速く走れるようコンディションが整えられています。スマートな体型に隆々とした筋肉は、見る人の心を惹きつける美しさがあります。

最後に、農用馬は荷物の運搬や農耕地の耕作、食用のために飼育されている馬のことです。ほとんどが重種馬なので、身体が大きく1tを超える馬も珍しくありません。食用になる農用馬は生産者の愛情をたっぷり受けながら、食卓に並ぶまで一貫した管理のもとで大切に育てられています。

熊本の馬刺しの特徴

熊本名物といえば、最初に馬刺しなどの馬肉料理を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。そのイメージの通り、美味しい馬刺しを食べるなら熊本県産の馬肉がおすすめです。なかでも、馬刺しは馬肉料理のなかでもメジャーな食べ方で、日常的なおかずから特別な日のディナーとしても親しまれています。

ここでは、熊本県の馬刺しの特徴や味わいの違いなどについて解説します。

熊本の馬刺しはサシが特徴

熊本県では重種馬をおもに取り扱い、身体が大きい馬肉に「サシ」が入っていることが特徴のひとつです。サシが入っているほど脂が多く、口に入れるととろけるような食感を味わえます。

また、馬肉の専門店や飲食店が多い熊本県では、馬肉の美味しさを引き出す加工技術や切り方に長けています。それぞれの部位に適した厚みを熟知している職人が多いからこそ、お口のなかでとろけるような味わいを実現しているのです。

味の違い

馬肉は生でも加熱しても美味しくいただける肉ですが、馬の種類や産地によって味わいは大きく異なります。重種馬は「霜降り馬刺し」としても知られるほど脂がよくのっているため、馬肉の甘い脂が楽しめながらも、あっさりと食べられることが特徴です。

また、軽種馬はあっさりとした赤身がメインのため、ステーキ鍋用としても美味しくいただけます。好みや用途に応じて使い分けると、部位ごとの味わいが引き立てられより美味しく感じられるでしょう。

種類による食べ方の違い

馬肉は種類によって肉質が変わることもあり、それぞれの種類で異なる食べ方を楽しめます。重種馬の場合は、にんにくとしょうがを薬味にするといっそう美味しさが増し、軽種馬は辛味噌としょう油で食べるとあっさりした味わいを楽しめます。

また、部位によっても食べ方や食感、味わいが異なるため、メニューに応じて適した馬肉を選んでみましょう。

なぜ熊本名物?

馬刺しは熊本名物として飲食店や専門店があり、手軽に食べられる料理として知られています。熊本藩の藩主が軍馬を食べたことがきっかけで全国に広まり、現在では馬肉の生産量日本一を誇る都市となりました。

熊本県産の馬刺しをいただくのであれば、馬肉を専門に扱う精肉店での購入がおすすめです。創業大正4年の「肉の大栄」では、最高級の馬肉を求めてこだわり抜いた環境で育てられた馬を、職人の加工・カット技術で美味しい馬肉を食卓に届けています。

馬肉は高い栄養価で低カロリー

ほかの食用肉と比べて、低脂肪・低カロリー・高たんぱくで、鉄分、カルシウム、亜鉛、ミネラルなども豊富に含み、馬肉生産量日本一の熊本県では古くから滋養強壮として親しまれてきました。

豊富な栄養素を含みながらも低カロリーの馬肉は、ダイエット中の食事メニューやお酒のつまみとしても活用してみるといいでしょう。

馬肉の部位と種類

ひと口に馬肉料理といっても、牛や豚のようにさまざまな部位や種類があります。もちろん、部位や種類によって味わい方が大きく異なり、価格もさまざまです。

ここでは、馬肉の部位や種類によって異なる味わいの特徴などを解説します。たてがみなど馬肉でしか味わえない部位も存在するため、馬刺しを楽しみたい方はぜひ参考にしてくださいね。

たてがみ

馬のたてがみ部分で、コウネとも呼ばれる馬肉特有の部位です。脂が多い割にあっさりして食べやすいことが特徴です。あっさりした味わいの赤身と一緒にいただくと、よりいっそう美味しく味わえます。

肩ロース

柔らかいところと硬いところがあるものの、赤身と脂のバランスが取れていることが特徴の部位です。馬刺しとして楽しむほかにも、しゃぶしゃぶ用としても人気があります。

肩バラ

商品しても知られる「霜降り馬刺し」になる部分で、良質でやわらかい脂がのった部位のひとつ。生の馬刺しだけでなく、さっと炙っていただくとよりジューシーさを感じられるためおすすめです。

リブロース

背中に近い部位のリブロースは、馬肉のなかでもきめが細かくやわらかいことが特徴の部位です。脂が少なく赤身になりますが、その美味しさは一度食べると病みつきになることもあるでしょう。

サーロイン

牛肉と同様に、馬肉のサーロインもとても美味しくいただける部位です。リブロースに比べてサシは少なく赤身よりの味わいですが、適度な脂が馬肉の味わいを引き出しています。

ヒレ

脂が少なくさっぱりとした味わいで、やわらかい肉質が特徴の部位です。定番の馬刺しで楽しむときは、厚めにカットすることでより馬肉の食感を楽しめます。

バラオビ

バラ系の後方中ほどにある部位で、ほかのバラに比べて脂のりがよく、大トロのような味わいとたとえられることも多い部位として人気があります。馬刺しのほかには過熱して食べるのもおすすめです。

ふたえご

バラの一番外側にあたる部位で、こりこりとした食感が好きな方から人気を集めています。脂身が赤身を挟んでいるため、肉の外側は白く内側は紅色という鮮やかな見た目も特徴のひとつです。

クロッド

馬の上半身にあたる部位で脂が少なく、さっぱりとした味わいが楽しめる部位です。ももと同じように赤身として販売されることも多く、商品化しているケースも見られます。

外モモ

モモ肉のなかでもっとも大きく、あっさりとして臭みがないため馬刺しとして定番の部位です。やや歯ごたえがあり、刺身やステーキなど赤身そのものの味わいを楽しみたいときにもおすすめです。

内モモ

外モモや丸モモに比べると脂は少ないものの、肉質はやわらかく食べやすい部位です。馬刺しやステーキ、鍋用として幅広くも楽しめる部位として人気があります。

まとめ

国内での生産量一位の熊本県産の馬肉はサシが多く入っているため、切り分けお皿に盛りつければ食卓を華やかに演出してくれます。また、馬刺しは豊富な栄養が含まれていながら低カロリーで、身体の健康に気を使っている方でも美味しくいただけます。

肉の大栄では、厳しい衛生管理のもと愛情を持って育てた馬を、高い加工技術と職人によるカットで鮮度が保たれたままの馬肉をお客様のもとへ届けています。いつもの食卓から特別な日の料理として、肉の大栄の馬肉をぜひご賞味ください。

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