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2023.10.25

妊婦が馬刺しを食べてはいけない理由とは?食べたときの危険性

一般的に、生モノは雑菌が発生しやすく食中毒になるリスクが高いので、妊婦は子供を守るためにも、生肉や生魚は避けるのが無難です。では、馬刺など、生で食べる機会が多い馬肉はどうなのでしょうか。

そこで、今回は妊婦が馬刺しを食べてはいけないのか、その理由についてご紹介します。馬刺しにどのようなリスクがあるのか、その対策方法も一緒に取り上げるため、ぜひ最後までご覧ください。

馬刺しは妊婦が食べてはいけないもの?

それでは、早速馬刺しを妊婦が食べてよいのか否かについて解説します。好んで食べたがる人も多い馬刺しですが、果たして妊婦が食べても大丈夫なのでしょうか。

妊娠中は馬肉を食べない方がよい

結論からいうと、妊娠中の人が馬肉を食べるのはやはり避けた方がよいでしょう。昨今はさまざまな規制によって生肉の提供が難しくなっていますが、馬肉はそうした肉の中で唯一生での提供が認められている存在です。

馬は牛や豚と異なり、体温が高く雑菌が繁殖しにくい性質を持っています。そのため、安全性が高く多くの飲食店で生の状態での提供が可能です。

しかし、安全性が高いからといっても、必ず食中毒にならないわけではありません。馬刺しには有害な雑菌が含まれている可能性があり、やはり食中毒になるリスクが多少なりともあります。

馬刺しによって引き起こされる食中毒の原因となる雑菌は、以下の3種類が一般的です。

トキソプラズマ

トキソプラズマとは、馬肉に寄生している可能性がある寄生虫の1種です。トキソプラズマは人を含むほぼすべての哺乳類に感染可能な存在で、世界的には全人類の3割以上が感染していると考えられています。

トキソプラズマの人への感染は、加熱が不十分だった食用肉に含まれる組織シスト、そしてネコ糞便に含まれているオーシストの経口的な摂取により生じるケースがほとんどです。日本では、トキソプラズマに感染する原因となる存在として豚肉が挙げられます。現在では豚肉の食中毒の危険性について周知が進んでおり、患者数は減少していますが依然としてトキソプラズマの感染報告例はなくなっていません。

ちなみに、トキソプラズマは生肉を調理したあとのまな板や包丁を経由して感染するケースもあります。そのため、食事中はもちろん、食事の前後も感染しないように調理器具の取り扱いには注意が必要です。

リステリア菌

リステリア菌こと正式名称リステリア・モノサイトゲネスは、河川水や動物の腸管内など、広い環境と範囲に分布している細菌です。国内ではあまり感染例の報告はありませんが、欧米では死者をともなう集団食中毒の事例も報告されています。

リステリア菌は、ほかの一般的な食中毒菌と同様に、食品の適切な加熱によって死滅させることが可能です。ただし、4度以下の低温や、12%食塩濃度下でも増殖できるため、冷蔵庫で保存していた食材や、塩漬けにしていた食材を生存していたリステリア菌と一緒に食べて、食中毒になる人もいます。

リステリア菌による食中毒が重症化する例は稀です。しかし、妊婦や高齢者は重症化するケースがあり、敗血症や髄膜炎、流産を含めた胎児への悪影響につながる可能性があります。

サルコシスティス・フェアリーにも注意

サルコシスティス・フェアリーとは、犬と馬に寄生する寄生虫です。人に寄生することはありませんが、寄生した馬肉を食べると食中毒になってしまいます。

症状が出るのは食後4時間から8時間の間です。下痢や嘔吐、胃痛などが発生しますが、基本的に症状は重症化しません。軽症のまま速やかに回復し、後遺症もほとんどないとされています。

ただし、症状の出方は個人差があるため、油断は禁物です。とくに下痢や嘔吐は切迫早産につながりかねない危険な症状なので、食中毒に限らず妊娠中の人は注意しましょう。

妊婦が馬刺しを食べてしまった場合

妊娠期間中は、馬刺しに限らず生ものの摂取はあまり推奨されません。しかし、中には馬肉のリスクを知らずに食べてしまう人もいるでしょう。もし妊婦が馬刺しを食べてしまったらどうすればよいか、対処法について解説します。

トキソプラズマ症は多くないが事例はある

トキソプラズマ症は、寄生虫であるトキソプラズマを摂取することで発症する感染症です。日本国内では1割から2割の人が感染していますが、ほとんどのケースで感染に気付きません。

トキソプラズマ症に感染する原因となりやすいのが、猫の糞です。完全室内飼育の猫であっても、生肉を食べたり、未殺菌のミルクを飲んでいたりする場合は、トキソプラズマに感染している可能性があります。そのため、基本的に妊婦に猫は近づけないようにしましょう。

トキソプラズマ症にかかったときの症状

トキソプラズマ症は、健康な人であればほとんど症状は出ません。出る症状としては身体中の痛みや発熱など、インフルエンザの症状に近いです。重症の場合は脳にまで感染が広がり、意識障害や視力の低下、意識障害などの重篤な症状を引き起こします。

妊婦がトキソプラズマ症にかかると、子供が先天性トキソプラズマ症になるリスクが高くなるため注意が必要です。万が一胎児が感染した場合は死産や流産、水頭症、脳内石灰化などを引き起こします。たとえ出産時に無症状でも、成人になるまでに症状が出る可能性が高いです。

不安な場合は検査を受ける

トキソプラズマの感染のリスクを知らずに馬刺しを食べてしまい、感染していないか不安な妊婦は病院で検査を受けましょう。トキソプラズマの診断において検体から原虫が検出されたり、分離されたりするのは非常に稀です。そのため、血清検査という方法で感染の有無を調べるのが有効とされています。

トキソプラズマの抗体検査の値段は検査を受ける施設によって異なるため、あらかじめ調べておきましょう。値段の相場は1,000円から5,000円前後です。

また、羊水から感染を調べる方法もありますが、保険適用外のため検査費用を全額負担しなければなりません。こちらの方法で感染の有無を検査する場合は、1万から2万円前後の費用がかかります。

トキソプラズマ症に感染する危険性

トキソプラズマ症に感染し、重症化する例は決して多くはありませんが、妊婦がトキソプラズマ症を発症するとさまざまなリスクを負うことになります。トキソプラズマ症の危険性や治療法について、もう少しだけ詳しくみていきましょう。

感染するのは抗体がない人のみ

トキソプラズマ症にかかる危険があるのは、過去にトキソプラズマ症になった経験がない人たちです。もし過去にトキソプラズマ症に感染していれば、すでに抗体を獲得しているため2度目の感染のリスクはありません。

トキソプラズマの抗体には、IgG型とIgM型の2種類があります。IgG型の抗体がある場合は、過去にトキソプラズマ症に感染し、すでに抗体ができていることの証明です。IgM型が見つかった場合は比較的最近、または数年以内にトキソプラズマに感染した疑いがあります。そのため、感染時期を特定するために詳しいアビディティ検査を受けなければなりません。

アビディティとは、簡単に説明すると抗原と抗体の結合力の総和のことです。アビディティが弱ければ感染してから時間が間もない時期、すなわち母体は初感染である可能性が高いといえます。

妊娠初期ほど感染が重症化しやすい

トキソプラズマ症は健康な人が感染しても風邪のような症状が出るだけで、その後抗体を獲得し再び感染することはありません。しかし、トキソプラズマの抗体を獲得していない妊婦が感染すると、母体を通じて胎児も感染し、先天性トキソプラズマ症を発症する可能性があります。

トキソプラズマが妊婦から胎児に感染する確率は、感染した妊娠期間によって変化するのが特徴です。一般的には、妊娠初期に発症したトキソプラズマ症は胎児に感染しにくく、感染した場合は、61%の高確率で胎児が先天性トキソプラズマ症を発症するというデータがあります。一方で、妊娠後期に発症したトキソプラズマ症は胎児に感染しやすいですが、胎児が先天性トキソプラズマ症を発症する確率は10%未満です。

妊娠中でも治療は可能

胎児にさまざまな悪影響を与えるトキソプラズマ症ですが、妊娠期間中でも問題なく治療が可能です。妊娠期間中にトキソプラズマに感染、または感染が疑われる場合は、アセチルスピラマイシンという薬が処方されます。

アセチルスピラマイシンには細菌を殺菌する効果があり、マイコプラズマをはじめとした細菌に有効です。早期服用によって、胎内感染が約60%低下するという報告もあります。

アセチルスピラマイシンを利用しても、胎児への危険性はとくにありません。また、重症化を防ぐ効果も確認されているため、万が一胎児が先天性トキソプラズマ症を発症しても軽症ですむ可能性が高くなります。

馬肉を食べたいときはしっかり加熱する

馬刺しを食べるリスクと、妊娠期間中にトキソプラズマ症をはじめとした食中毒にかかるリスクについてはご理解いただけたでしょうか。もしリスクをわかった上で、それでも馬肉が食べたいという人は、しっかり加熱料理をしてから食べるようにしてください。

以下、馬肉の調理方法や馬肉そのものの栄養についてご紹介します。

馬肉には妊婦に必要な鉄分が含まれている

妊婦が馬刺しを食べるのは食中毒にかかるリスクが高くなるため、おすすめできません。しかし、馬肉そのものには妊婦に必要な栄養が多数含まれています。

赤ちゃんが健康的に育つためにも、妊娠期間中の食事は重要です。とくに妊婦が不足しやすい鉄分は意識して摂取する必要があります。

妊娠中の妊婦が鉄分不足になると、さまざまなトラブルが発生するのですが、その代表ともいえるのが鉄欠乏性貧血です。妊娠期間中は胎児に栄養を送るために全身の血液量が1.5倍程度増えますが、鉄分が不足すると必要な血液が作れません。高度な鉄欠乏性貧血になってしまうと、胎児が低体重になる可能性が高まります。

馬肉は鉄分をはじめ、カルシウムなどの栄養が豊富に含まれている食材です。どれくらい栄養が豊富かというと、あの鉄分が豊富な食材の代表であるほうれん草やひじきよりも多く鉄分を含んでいます。また、健康には欠かせない必須脂肪酸も豊富に含まれており、妊婦にとって最適な食材の1つといえるでしょう。

調理方法

馬刺しで食べるイメージが強い馬肉ですが、加熱調理をしても美味しく食べられます。食中毒のリスクを減らすためにも、妊婦が馬肉を食べる際は必ず加熱調理をしましょう。

馬肉の調理で、最も手軽な方法は焼くことです。馬肉は加熱すると硬くなってしまうため、調理の際は注意が必要ですが、焼肉のタレや薬味と一緒にサッと炒めるだけでも十分美味しく食べられます。

また、馬肉は煮込み料理にもおすすめです。カレーやワイン煮込みなど、長時間煮込めば馬肉も柔らかくなります。馬肉の旨味が溶け込んだ料理は、濃厚なのにさっぱりとしており、一度食べればその魅力の虜になるでしょう。

ちなみに、食中毒のリスクを減らす方法として、馬肉を冷凍するのも有効です。中心温度をマイナス20度以上の状態に保ち、48時間以上冷凍処理を行うことで、食中毒の原因となるサルコシスティス・フェアリーなどの活動を完全に停止できます。

妊婦が馬刺しを避けるべき理由について詳しくお伝えしましたが、実際に生以外でどんな食べ方があるのでしょうか?こちらでは、生以外の食べ方のほかに馬刺しの摂取がもたらす効果や、適切な摂取目安量を紹介しますので、あわせてご覧ください。

まとめ

以上、妊婦が馬刺しを食べてはいけない理由と、食べたときの危険性について取り上げてきました。食品管理の規制が厳しくなっている昨今、馬肉は数少ない生で食べられる食材です。しかし、食中毒にかかるリスクがある以上は、胎児の健康のためにも妊娠期間中は避けるのがよいでしょう。

しかし、馬肉そのものに含まれている栄養は妊婦にとって最適なものばかりです。しっかり加熱処理をするなど、食中毒にならない方法で摂取すれば母体にも胎児にもよい影響を与えるでしょう。

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